2015年12月27日

吉村大阪市長 施政方針演説 要旨(平成27年12月25日市会定例会) 2015年12月25日

吉村大阪市長 施政方針演説 要旨(平成27年12月25日市会定例会)
[2015年12月25日]
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000337250.html

お許しをいただきまして、市長就任のごあいさつを申し上げ、市政運営の考え方について、その一端を述べさせていただきます。
私は、このたび市民の皆様の温かいご支持をいただき、第20代大阪市長に就任いたしました。
私に投じていただいた59万票の市民の負託にしっかり応えるとともに、他の3名の候補者の方に投じられた46万票の重みも受け止め、260万市民の代表として大阪市政の舵取りを行なってまいります。
先般の大阪市長選挙において、私は国会議員を辞職し、政治家としての生死をかけた激烈な選挙戦に挑みました。その選挙を経て、大きな民意が示されました。私は、政治家として、その民意に対して、忠実に行動しなければならないと考えております。
橋下前市長は、役所目線の古い慣例を見直し、市民目線で数々の改革を進めてきました。市債残高の削減、通常収支不足の縮減、人事給与制度改革、外郭団体の抜本的見直しなど、その成果は着実に数字で表れています。今後も厳しい財政状況が続くことが見込まれるため、引き続き、市民感覚を持って行政の無駄をなくす改革を徹底的に行なわなければなりません。
そのために、市長退職金の廃止に加えて、まず、トップである私自身の市長報酬を40%カットし、前市長の報酬総額を下回るまで削減します。その上で、職員の給与削減も継続いたします。厳しい財政状況の中、私を含めて公務員は全体の奉仕者であることを自覚し、役所自身が税の使い方に強い緊張感を持つこと、これを今後も求めていきます。
私は、今回の選挙戦で、「過去に戻すか。前に進めるか」を問いました。そして、前に進めるという民意をいただいたと考えております。過去に戻ることがないよう、橋下市政を継承し、さらに私が改革を引き続き実行します。
また、こうした改革を継続するだけでなく、橋下市政の改革でできなかったこと、修正すべきことにしっかりと取り組んでまいります。民営化・統合案件については、議会の皆様との対話を重視し、修正するところは修正し議論を進めたいと考えております。粘り強く合意形成を図り、一歩でも二歩でも前に進めていきたいと考えております。
市長である私自身が市民の皆様の代表であると同時に、議会である皆様も市民の代表である二元代表制のもとでは、議会の皆様の同意がない限り、大きな改革は前に進みません。
大阪の改革を前進させるためにも、議会の皆様と是々非々の議論の中で、一致点を見出していきたいと考えております。
地下鉄・バスの民営化、水道の経営形態の変更、大学の統合は、できるだけ早い段階で議論し、次のステップに進めていきたいと考えています。研究所の統合、港湾管理の一元化など、機能強化が図れるものについても、具体像を示して前に進めるための議論をしていきたいと思います。これらは先の選挙戦でマニフェストにも掲げ、市民の皆様に訴えかけてきました。

これからの4年間は改革の第二ステージです。これまでの改革の成果を活かし、新たに価値を生み出す「創造的な改革」に取り組んでいきます。


将来にわたって豊かな大阪を実現するためには、改革と成長により、市民サービスを拡充するための財源を生み出すことが必要です。
私がこの4年間でめざすべき大きな大阪の方向性は、「市民サービスの拡充」と「大阪の改革と成長」です。
まず、市民サービスの拡充についてです。

市民サービスの拡充において、私が選挙戦で訴えたマニフェストを実現していくこと、これは当然の責務だと考えております。そして、私が特に力を入れて取り組みたいことは現役世代への重点投資、とりわけ子育て、それから子どもの教育です。
将来にわたって、活気のある元気なまちであり続けるため、次代の大阪を担う子どもたち、孫たちがすばらしい教育をしっかりと受けられる環境、親たちが子育てしやすい環境をしっかりと作ることが大切です。
少子高齢化が進行する中、高齢者世代を物心両面から支える立場の現役世代や子どもたち、孫たちが元気でなければ、大阪を豊かにすることはできません。
この任期中の4年間の大きな目標として、「子どもの教育費、医療費、無償都市大阪」をめざします。
私の大きな理念として、これは理想かもしれませんが、親の経済格差が子どもの教育格差につながることがあってはならないと考えております。子どもたちを同じ土俵に乗せ、等しく学び成長していくことができるように支えていくことは、めざすべき将来像だと考えています。
その中で、象徴的なものが、子どもの教育費、医療費です。成熟した先進都市においては、子どもの教育や医療は無償であるべきと考えています。その理想の姿に向けて段階的に取組み、最終的には、すべての子どもが等しく教育・医療が受けられる、子どもの教育・医療、無償化都市をめざします。
そのために、まず、子どもたちが安心して医療を受けられるように医療費助成の18歳までの拡充を実現させます。
現在、大阪市においては、中学校修了までの医療費助成がありますが、これを18歳まで拡充させます。これを実現させることで、大阪において、出産から18歳まで、医療費実質無償化を実現できます。さらに、お母さんも安心して子どもを産めるように、妊婦健診も公費負担を拡大します。出産から子どもが18歳になるまで、切れ目なく子どもと子育て世代を支援します。
教育については、現在、大阪府の制度として、私立高校の実質無償化があります。
大阪市において拡充すべきは幼児教育です。幼児教育の無償化が実現できれば、大阪府の私立高校の実質無償化制度と相まって、子どもの教育費無償都市大阪を実現させることができます。
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。そのための環境整備として、まずは保育所、幼稚園ともに5歳児の無償化に向けて取り組んでまいります。すべての子どもたちに教育の機会を保証したいと考えております。
待機児童問題も深刻であり、民間事業者を活用した保育所整備、小規模保育事業のさらなる拡大などによって、待機児童ゼロをめざします。
また、中学校給食は、現在の弁当デリバリー方式から親子方式、自校調理方式による100%学校調理へ転換します。今回の選挙結果を受けて、目標年度をさらに前倒しして、私の任期である4年間の内に、100%学校調理のおいしい中学校給食を実現します。
そして、これまでのICT教育・英語教育のさらなる充実など、教育を受けやすい環境づくりや学力向上にも引き続き取り組んでまいります。バウチャーについては、利用する子どもたちの立場に立って、学校と事業者との障壁をできるだけ取り除いていく、事業者の切磋琢磨を促し、選択できるサービスの幅を広げるなどして、子どもの教育の機会を増やしていきたいと考えています。
子どもの教育を充実させるためには、子どもの安心・安全を守ることも大切です。
昨今、児童虐待や育児放棄、不登校、いじめなど、子どもをめぐる問題が深刻化しています。核家族化、少子化、地域のつながりの希薄化、所得格差の拡大によって、親が子育ての負担感や不安を抱え込み、子育ての悩みが大きくなっていることが問題の背景にあると考えています。こうした子ども・子育てのあらゆる課題に応え、子どもの成長を社会全体で支えていけるよう、NPOや市民団体、地域団体など多様な主体と連携するとともに、行政としてもできる限りの支援を行なってまいります。
まずは、経済的に恵まれない家庭の子どもたちへのサポートを充実するため、私自身座長、トップとなる「子どもの経済困窮対策チーム」を設立します。逃げ場所のない児童の虐待は何としても根絶しなければなりません。児童福祉司や児童心理司の拡充といった児童虐待防止のための体制を強化するなど、しっかりとメッセージを出していきます。
私は、少子高齢社会において、高齢者世代を物心両面から支える子ども、子育て世代を活性化することが、ひいては高齢者世代を支えることにつながると考えております。そして、子ども、子育て世代のための施策を充実するとともに、社会全体で支えていくべき高齢者世代、とりわけ真に支援を必要とする高齢者には、徹底した支援が必要であると考えております。
例えば、特別養護老人ホームに入りたくても入れない高齢者をなくすため、平成32年の高齢者人口のピークを見据え、特別養護老人ホームを増設し、平成29年度には待機高齢者ゼロをめざします。要援護者の見守りサポートなど、在宅で寝たきりの方や独り暮らしの高齢者を日ごろから支援する取組みも広げていきます。
さらに、元気な高齢者の皆様が、これからも元気でいてもらうための健康寿命の増進、これが大切です。100歳体操の拡大やふれあい喫茶をはじめ、高齢者の皆様の地域のつながりをいっそう拡大、深めていくことが大切だと考えております。そのためにも、NPO、市民団体、地域団体と行政の関係を強化していきます。
今後も大阪が成長していくためには、それを支える人材力の強化が必要です。若者、子育て世代、女性、高齢者、障がいを持つ方など、意欲のあるすべての人が能力を発揮できる環境を整備します。
就業支援を通じて、自立を促し、安心して暮らせるセーフティネットの構築にも努めてまいります。
その他、あらゆる角度から、今回の選挙でお約束したマニフェストの市民サービス拡充を実行していきます。

「市民サービスの拡充」と並び、もう一つの大きな実現目標は、「大阪の改革と成長」です。
東京一極集中を解消し、東京と大阪がツインエンジンとなって、この大阪が日本を引っ張っていくような大都市に育っていくこと。これは、私が政治を志した原点でもあります。
大阪は東京との2つのエンジンで日本の経済をけん引できる高いポテンシャルを有しています。
しかしながら、これまで長年にわたる府市の二重行政や二元行政の弊害、迅速かつ大阪全体を見渡した意思決定ができない組織体制、これらが大阪の地盤沈下と東京の一極集中を招く一つの要因となっていました。
まずは、「副首都推進本部」を年内に立ち上げて、日本のツインエンジンとしての副首都のあり方、副首都にふさわしい統治機構改革について、府市一体となって検討を進め、副首都大阪の将来ビジョンを示していきます。
大阪市だけ大阪府だけというこれまでのような狭い捉え方ではなく、広域的な視点に立って、都市の機能を捉え、整備していくことで、府と市が一体になって国内外の活力を取り込みながら、
関西をけん引することができると考えております。
そして、これまで以上に広域的に国内外の「人」や「モノ」や「お金」、「情報」が動く、集まるという視点で、リニア中央新幹線やなにわ筋線など、大阪の都市インフラの整備を着実に進めていきます。
また、東京一極集中では、地震等の大規模災害時に国家機能が全てストップしてしまいます。
そのリスクを解消するためにも、大阪が首都機能の一部を担うことが必要です。南海トラフ地震といった大規模災害に備え、国、府、市が一体となって、防潮堤の整備を確実に進めるなど、大阪の防災力を強化します。
豊かな大阪を実現するためには、大阪の経済をしっかり成長させていくことが必要です。
周辺自治体や経済団体などとの連携によって、回復傾向にある大阪経済を確かな成長軌道に乗せていきます。
大阪の技術や産業、観光、文化、あらゆる大阪の強みを国内外に積極的にアピールするためにも、府市一体で取り組むことは当然のことながら、大阪の良さを私自身がトップセールスしてまいります。
現在、観光は大阪の経済のけん引役となっています。大阪を訪れる外国人は年間600万人に及ぶ勢いです。この機会を逃さず、観光が大阪の新たな基幹産業になるようトップとしてしっかりメッセージを出しながら、民間の取組みを促してまいります。とりわけ、湾岸エリアは計り知れないポテンシャルがあると考えています。夢洲に統合型リゾートを持ってこれるよう、府市で強力に取り組んでいきます。
観光と並ぶ、大阪経済の成長のもう一つの鍵は、世界に通用する中小企業の「ものづくり」の力です。例えば、スカイツリーの免震装置に採用された加工技術や大型旅客機の部品製造など、光る技術を持った中小企業がたくさんあります。環境・新エネルギーやバイオなど先端技術産業のさらなる強化とともに、努力する企業ほど優遇される仕組みへと転換を図り、また、府市一体となって中小企業を支援するためにも、統合案件としての「スーパー公設試験研究所」、この実現をめざします。果敢に挑戦する中小企業や新たに会社を興す「起業」をしっかりと支援してまいります。

副首都にふさわしい大阪、経済的にも文化的にも政治的にも日本のツインエンジンといえるような大阪を確立するためには、それにふさわしい強力な行政組織が必要になります。副首都機能を担う実行組織としてのあるべき行政組織や意思決定のあり方についても議論してまいります。
今回の選挙では、私以外の候補者は、大阪都構想を完全に終了させることを訴えました。私は、大阪都構想を修正する議論を続け、3年かけて都構想の修正案を完成させることを訴えました。そして、今回の選挙結果を得ました。前回の住民投票の結果は重く受け止めています。市民の皆様や市会の各会派の皆様との十分な対話と議論を通じ、都構想の案をより良いものにバージョンアップし、今後3年以内に、市民の皆様の理解が得られる設計図案を完成させていきます。そして、私の任期中には、修正された都構想の設計図案について住民投票を実施し、市民の皆様に是非を問うてまいりたいと考えています。

大阪の成長、改革の実現、市民サービスの拡充に向けて、市会の皆様方と対話、議論、協調、しっかりとした合意形成、これを意識しながらも、市民の皆様にもこれからしっかりと情報発信してまいりたいと思っております。市会の皆様方のご協力、ご理解、心からお願い申し上げまして、私の就任のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
posted by 結 at 16:09| 市長会見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする